皮脂欠乏性皮膚炎
皮脂欠乏性皮膚炎は、皮膚の乾燥が原因で発生する炎症性の皮膚疾患です。皮脂が不足することで、肌の保湿バリアが弱まり、乾燥しやすくなります。これにより、肌がかさつき、赤みやかゆみが生じます。特に年配の方に多く見られ、寒い季節や乾燥した環境で症状が悪化しやすいです。
治療には、保湿剤を使用し、適切なスキンケアを行うことが重要です。また、入浴後や手洗い後に保湿剤を塗ることで、肌の乾燥を防ぐことができます。赤みが強い場合はステロイド外用を併用することもあります。
貨幣状湿疹
貨幣状湿疹は、円形や楕円形のかゆみを伴う湿疹が皮膚に現れる病気です。これらの湿疹は、貨幣のような形をしているため、この名前が付けられました。原因ははっきりしていませんが、アレルギーや乾燥、感染などが関与していると考えられています。
治療には、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン剤を使用し、かゆみや炎症を抑えることが一般的です。適切なスキンケアや保湿も症状の管理に役立ちます。
うっ滞性皮膚炎
うっ滞性皮膚炎は、特に下腿に発生する慢性的な皮膚炎で、血液の流れが悪くなることが原因です。通常、静脈瘤や慢性静脈不全が背景にあり、血液が正常に心臓に戻らず、下腿に浮腫が起こり、皮膚に炎症が起きます。皮膚は赤く腫れ、かゆみや痛みを伴うことがあります。
治療には、圧迫療法や適切なスキンケアが重要であり、炎症が強い場合はステロイド外用薬が使用されます。また、寝ている時に下肢を挙上することは血液の流れを改善することにも役立ちます。
水疱性類天疱瘡
水疱性類天疱瘡は、年配の方に多く見られる自己免疫疾患で、大きな水疱や潰瘍が皮膚に現れる病気です。免疫系が皮膚の構造を誤って攻撃することで発生します。症状は主にかゆみを伴う水疱で、皮膚が非常に弱くなりやすいです。内臓悪性腫瘍や糖尿病内服薬、ワクチンが原因・誘因となることもあります。年配の方では、特に内臓悪性腫瘍に注意が必要です。
治療には、ステロイド薬内服・外用や免疫抑制剤内服が使用され、炎症を抑えることが重要です。また、皮膚の保護と感染予防も大切です。原因を検索して、原因を排除することも重要となります。
帯状疱疹
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することによって発生する病気です。体の片側に痛みを伴う水疱が帯状に現れるのが特徴です。ウイルスは神経に潜んでおり、免疫力が低下すると再び活動し、痛みやかゆみを引き起こします。
治療には、抗ウイルス薬や鎮痛薬が使用され、早期治療が重要です。水疱が良くなっても痛みだけ長期間残存する場合があり、鎮痛薬を継続せざるを得ない場合もあります(帯状疱疹後神経痛)。また、帯状疱疹の予防にはワクチン接種が有効です。
足白癬、カンジダ間擦疹
足白癬は、いわゆる「水虫」として知られ、足の皮膚に真菌が感染することによって引き起こされます。湿気の多い環境で繁殖しやすく、かゆみやひび割れ、皮むけを引き起こします。
一方、カンジダ間擦疹は、皮膚の折りたたまれた部分にカンジダが増殖して炎症を起こす病気です。両方の治療には、抗真菌薬が使用され、適切な衛生管理が重要です。
治療は、ともに抗真菌薬が使用され、適切な衛生管理が重要です。
脂漏性角化症
脂漏性角化症は、良性の皮膚腫瘍で、年齢と共に増える傾向があります。顔や体の他の部分に茶色や黒の隆起した斑点として現れます。
通常、痛みやかゆみは伴わず、治療の必要はありませんが、見た目が気になる場合は、液体窒素を用いて病変を凍らせてしまう凍結療法や炭酸ガスレーザー治療で除去することができます。
この病気そのものはがんではなく、健康に重大な影響を与えることはありません。ただ、あまりに急激に多発した場合はレーザー・トレラー兆候と言って内臓悪性腫瘍が関与している場合があります。