水虫というと「かゆみ」をイメージされる方も多いです。たしかに強烈なかゆみを伴う場合もありますが、ほとんどの方がかゆみを伴わない水虫を発症することも多く、単なる湿疹や乾燥肌だと勘違いしてしまう方が少なくありません。そのため、水虫と気付かないまま放置して、症状を悪化させたり、人に感染させてしまうことがあります。
水虫と似た疾患
靴内の環境や消毒液・外用薬などが原因のかぶれ(接触皮膚炎)や、春や秋に生じやすい汗の出口周囲に炎症を生じる異汗性湿疹、カンジダという真菌によって起こる皮膚カンジダ症などがあります。
患者さんが症状から判断するのは難しいため、まずは一度皮膚科を受診するようにしましょう。水虫の検査は、患部の角質層を削って顕微鏡検査を行うことで簡単にわかります。所要時間も数分で終わりますので、お気軽にご相談ください。
塗り薬をつかった水虫の治療
水虫は外用抗真菌薬を使った薬物療法が基本となります。医師の指示に従って正しく塗ることで、白癬菌を殺菌して発育・増殖を防ぎます。外用薬には液体、軟膏、クリームなど、さまざまなタイプがありますので、患者さんの皮膚の状態に合わせて処方します。
薬を塗り始めると、症状が軽減していきますが、角質の奥深くに入り込んだ白癬菌が生きていることがあります。角質層が完全に入れ替わるまでの期間、1~2か月以上は薬を塗ることが重要です。くれぐれも自己判断で塗るのをやめないようにしましょう。水虫は根気よく治療を続けることが大切です。
足水虫が気になって皮膚科を受診した際に、爪水虫も併発していると診断を受ける方は少なくありません。長い間、足水虫を放置していると、足に寄生していた白癬菌が爪の中にまで入り込んで、爪水虫を発症します。
- 爪の表面が黄色や褐色に変色している
- 爪の縦じわやデコボコが目立つ
- 爪が白っぽく濁り、厚みが増している
など
爪水虫の場合は、ほとんどの方が足水虫を併発しているため、足の白癬菌を塗り薬で殺菌しても、爪から白癬菌が移り再発を繰り返してしまいます。つまり、爪水虫を治さない限り、堂々巡りが続いてしまう厄介な感染症です。
内服薬による爪水虫の治療爪は形状次第で外用薬(塗り薬)が浸透しにくいことがあるため、内服薬を処方します。治療期間は患者さんによって異なりますが、爪全体が白濁しているような症例の場合、1年ほどかかります。爪の根本からきれいな爪が生えてきて、ゆっくりと病状が改善していきます。飲み合わせの問題で内服出来ない場合や爪水虫になっている爪の数が少ない場合、外用を選択する場合も多くあります。
爪水虫も足水虫と同様に、自己判断で治療を中止しないようにすることが重要です。治療中、なにか気になることがあれば、なるべく早めに皮膚科を受診して、医師の診断を受けましょう。